Restaurant
79㎡/23.9坪
July, 2020
Shirogane, Tokyo
photo: Yasunori Shimomura
大阪にあったイタリアンレストランが閉店し、東京へ移転するプロジェクトに携わらせていただきました。
新店では、コース料理の内容をさらに進化させるため、よりゆったりと落ち着いて食事を楽しんでいただける空間が求められました。そのため、料理以外の空間の質の向上と、効率よくサービスできる動線や収納を含めた使いやすさの両立が必要とされました。
現地物件の選定段階から同行し、検討を重ねるなかで、既存店舗からのアップデートとして、カウンターを印象的なシェフズテーブルにすることを提案しました。シェフが食材を丁寧に扱い、客の目の前で仕上げていくライブ感のあるカウンターは、視覚的にも楽しめ、食欲を引き立てます。
さらに、個室や男女別のホテルライクなトイレ、ワインセラーも設計に取り入れました。
空間のキーワードとしては、「落ち着き」「やさしさ」「少しの緊張感」。要素を絞り込む代わりに、素材同士が共鳴するような繊細なバランスを意識し、ディテールを丁寧に調整しました。
カラーは、料理の色鮮やかさが際立つようグレージュを基調に設定。照明器具においても、料理が最も美味しそうに見える光の質や角度を検証し、選定しました。
物件自体は変形敷地で天井も低いという制限がありましたが、これを逆手にとり、カラーの統一と光の設計により、まるで洞窟にいるような包まれた感覚を演出しました。
この空間で心がけたのは、主役はあくまでシェフの料理と来店されるお客様であるということ。インテリアとしての完成度は80%。そこに料理と人が加わることで、初めて100%になるような空間を目指して設計しました。
施工協力 株式会社キクスイ
設計者記録やBeforeなど