JAPANESE RESTAURANT
49㎡/14.8坪 Inside
55㎡/16.6坪 Outside
March, 2026
Ropponmatsu, Fukuoka
photo: Mitsunobu Nakamura
肉時々和食ー「食の劇場」を体現する、シェフズテーブルの高揚感
福岡市・六本松のビル最上階に誕生した肉和食店「未雷」の店舗設計を担当させていただきました。
オープン後、改めて一人の客としてこの空間を体験し、設計段階で考えていたことと、実際に生まれていた空気を静かに確認して参りました。
この空間で目指したのは、単に高級感のある飲食店をつくることではありません。
料理、所作、会話、緊張感。
それらが一体となり、食事の時間そのものが記憶に残る体験になること。
その為に、空間をできる限りノイズの少ない状態に整えています。
照明は必要以上に空間全体を照らさず、料理と手元、素材の質感に視線が集まるよう抑制しています。
暗さには理由があります。
人は視覚情報が減るほど、音、香り、距離感、空気の揺らぎに敏感になります。
この空間では、料理を見るだけではなく、焼き上がる音や、包丁のリズム、料理人の呼吸までも含めて体験として感じられることを意識しています。
素材についても、華美な装飾ではなく、石、金属、木、それぞれが持つ静かな緊張感を重視しました。
強い主張を持つ素材ではなく、時間や光によって表情が変化し、料理と人を引き立てる素材構成としています。
そして、この空間の核になっているのがカウンターです。
一般的な飲食店では、カウンターは席として計画されることが多いですが、ここでは「料理人と客の関係性を生み出す装置」として設計しています。
距離が近すぎれば圧迫感になり、遠すぎれば体験が薄くなる。
そのわずかな境界を探りながら、視線、手元、会話、器の動きが自然に交差する距離感を調整しました。
客席は、料理を鑑賞するためだけの場所ではなく、その場の緊張感や空気を共有し、自らも舞台の一員となる距離感として構成しています。
実際に客として座ってみると、料理を待つ時間そのものに独特の高揚感があり、空間が単なる背景ではなく、体験そのものを支えていることを改めて感じました。
空間は、完成した瞬間に終わるものではなく、人が入り、料理が提供され、会話と空気が流れ始めた時に初めて完成する。
今回のプロジェクトは、そのことを改めて強く実感した空間になりました。

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設計者記録やBeforeなど


